こんにちは。カイテクホームの福本です。
今回は呪文のようなタイトルから始めてみました。

さて、唐突ですが皆さま『聖ヨゼフのらせん階段』をご存じでしょうか?
聖ヨゼフのらせん階段 とは、アメリカのニュー・メキシコ州サンタフェにある修道院、ロレット・チャペルに現存するらせん階段です。詳しく語る前にまずはこちら。

一見普通のらせん階段のように見えますが、このらせん階段がなぜ有名なのかというとズバリ・・・真ん中に支柱が存在しない、つまり階段自体に支えが存在せず宙づり状態なのです。一般的ならせん階段は以下のような形なので違いは一目瞭然ですね。

にもかかわらず修道院の聖歌隊が20人乗っても壊れない、イナバの物置的な写真まで残っていてその頑丈さは折り紙付きです。(ちなみに現在は保存のため登ることはできません。)

製作された時期は1870年代。詳しく書くと長くなるので割愛しますが、キリスト教の修道院に存在するだけあって現代まで伝え残る製作経緯はまさに奇跡で魔訶不可思議。分かっているのは突然やってきた1人の老人が金づちとのこぎりとT字定規で作り上げたということだけ。その老人が誰なのかはおろか、製作方法が一切謎のままであり、現代の物理学・建築学をもってしてもなぜこの階段が1世紀半もの間、壊れることもなく存在し続けられるのか解明できていないとのこと。

とまぁ「聖ヨゼフのらせん階段」で調べるとロマン溢れる都市伝説チックな記事ばかり、中には現代技術では再現不可能とまで書いているようなサイトもヒットしますが、実のところは構造や製作者はある程度解明されていますし、当然、現代の技術で作られた支柱の無いらせん階段なんか調べれば山ほど出てきます。構造を解明した説として有名なものは

  • 内側の螺旋の半径が小さいことから、階段自身が支柱そのものであるという説
  • あえて鉄製の釘などを用いず、木製のくさびを使って建設することで階段自体が「バネ」のような柔軟さを持っているという説
  • らせん階段の湾曲した側桁(段板を挟み込む両側の板)に使用されている木材が非常に硬い種類で、かつ精密に組み合わされているためそれ自体が支柱の役割を果たしているという説

などなど。

しかしながらこれらの説も推測の域は出ていませんし、その構造もさることながら、化粧板の精密な曲線は現代でも再現が困難なものであるうえ、1870年代であればなおさらその技術力には謎が残ります。
どうあれ、この階段は建造物として芸術的にとても優れている点、150年もの間その荘厳で美しい姿を保ってきた点、これは事実です。奇跡は奇跡のままにしておくのが美しいってことでしょうかね。

ちなみに支柱の無い古いらせん階段は日本にも存在しますが、場所はなんと鳥取市の仁風閣。
明治40年(1907年)完成なのでこちらも100年を超えています。壁を支柱にしている点がヨゼフのらせん階段とは違いますがこちらもまた荘厳で美しい建造物です。

興味のある方は訪れてみては?きっとサンタフェよりは近いはずです。笑